以前、農業での放射線の活用について書きましたが、今回は製造業における放射線の活用について書いてみたいと思います。
※以前のブログはこちら↓
非破壊検査
非破壊検査とは、その字のとおり、「物を壊さずに表面や内部のキズ、または劣化の状態」を調べる検査のことです。
この「物」を検査する用途で放射線が使われています。
放射線には物を通過する性質があります。病院でのレントゲン撮影では、照射されたX線が人体を透過して体内にある病巣や状態を写し出します。
それと同じように、物にX線を照射し内部の欠陥を調べるのです。
(非破壊検査には、X線のほかに、超音波や赤外線などを用いた検査もあります)
検査対象としては様々なものがあるのですが、例えばちゃんと溶接されているかを調べる「溶接部の欠陥」、また「ボルトとナットの締結状況」、「製品・部品の内部観察」などなどです。
大きなものになると、ジェットエンジンの検査でも使われ、内部に亀裂などの損傷がないかをチェックします。
また、建物や橋梁といった構造物の内部(コンクリートや鉄筋)にひび割れやキズがないかという検査にも放射線が利用されています。
厚みや量の測定
放射線が物を透過するということはすでに書きましたが、この透過するという性質を活用して、放射線の透過量の違いから物体の「厚み」や「量」を調べることができます。
主な活用例として、一定の厚みが求められる、「紙」や「セロファン」「アルミホイル」「鉄板」などがあります。
アルミホイルや紙などの厚みが一定ではなくボコボコしていたら困りますよね!
そのため、X線を透過させ、その透過量から同じ厚みになっているかという品質管理を行っているのです。
物の強度や耐熱性を高める
プラスチックなどに放射線を当てると、分子と分子の結合がより強い分子構造になります。また、それにより、耐熱性にも強い分子構造に変化します。
このような放射線を照射することによって生じる化学変化を利用して、耐熱性を高めたポリエチレン製の被覆電線などが作られます。
この耐熱性を高めた電線は、熱が発生する機器、たとえば、「パソコン」や「テレビ」さらには「自動車」などにも使われています。
その他にも、お風呂のマットや自動車のタイヤなどの製造においても放射線が活用されています。
さいごに
いかがでしょうか。以前のブログで書いた農業での放射線の活用に続き、今回は製造業での放射線の活用について書きました。
こうして放射線について書いてみると、放射線は「医療」「農業」「製造業」と私たちの生活に密接に結びつき、なくてはならないものなんだなぁと改めて感じました。