2016年は様々なVR関連のデバイスが登場し、VR(仮想現実)元年として花開いた年でした。
ゲームなどコンシューマ向けとして注目を集めたVR技術ですが、最近では産業分野、とりわけ医療分野での応用が広がってきたようです。
下の記事でも、VRヘッドマウントディスプレイと触覚センサが搭載された手袋、そしてロボットアームなどを使用し、医学生や経験の浅い研修医が事前に外科手術のシュミレーションができる、という内容が掲載されていました。
VRではないのですが、日本でも、現在すでに「ダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)」という手術支援ロボットが実際の医療機関に導入されはじめており、泌尿器、消化器、呼吸器、心臓領域など、多数の実績や症例があがってきています。
「ダ・ヴィンチ」は、3Dのモニタを見ながらロボットアームを操作して手術を行うものですが、上の記事にあるような、臓器に触れるような感覚を得られる触覚センサは搭載されていません。
しかし、「ダ・ヴィンチ」による手術は、開放手術と比べて出血が少ない、傷口が小さい、回復が早いなど、患者にとって非常に大きな恩恵があるそうです。
以前、偶然にも「ダ・ヴィンチ」に触れる機会があったので、実際に少し操作させていただきました。
多少の慣れは必要なものの、スムーズで自由な鉗子の動きや手振れ防止機能など、先端技術による操作感は圧巻でした。
何より3D表示が素晴らしく、3Dであるゆえに奥行きがわかるので、小さく細かい対象物でもすんなり掴むことができるのです。
その際、「ダ・ヴィンチ」を導入している大学病院の先生と少しお話をしたのですが、「ダ・ヴィンチ」の操作は、熟練したドクターよりも、若手の医師の方が操作の飲み込みもはやく、上手に扱えることが多いみたいです。
その先生は、「操作感がゲームのコントローラに似ているため、若手の先生の方が感覚的に理解できるのかもしれませんね」と語っていました。もっとも、熟練したドクターが横で的確な指示をするのが前提ですが。
「ダ・ヴィンチ」でもそうなのですが、手術支援ロボットのメリットの1つは、遠隔地からコンソールを操作して手術ができるという点ではないでしょうか。
どこにいても、“神の手”と呼ばれる世界中の名医に手術してもらえるのですから!
今後、より技術が進歩するのはもちろんのこと、保険適用となる対象がさらに増えていくことを期待します。