あなたは、昨日の夕飯なにを食べたか覚えていますか?
食事で何を食べたか思い出せない、相手の名前が出てこない、こうした物忘れはよくあることです。
しかし、こんなちょっとした思い出せないことが認知症の兆候といわれています。
年齢とともに認知症のリスクは高まります。
しかし一方で、高齢になるにつれ個人差はあれど、「物忘れ」も増えてきます。
この認知症と物忘れは、表面的には似たような症状ですが、それぞれに特徴があり見分ける必要があります。
物忘れと認知症の違い
物忘れと認知症は似たような症状ですが、根本的に違います。
「物忘れ」は、忘れたこと自体を自覚しており、なにかのきっかけさえあれば思い出すことができます。
年齢とともに脳の機能は衰えていくものであるため、「物忘れ」は誰にでも起こりうる症状です。
対して「認知症」は、忘れたこと自体を自覚しておらず、きっかけを与えても思い出すことができません。
また、認知症が進行すると、「判断、理解力が衰える」「時間、場所がわからない」「人柄が変わる」「不安感が強い」「意欲がなくなる」といった症状が強く出てきます。
認知症の主な種類と割合
脳の機能障害である認知症の症状は様々で、原因疾患はいくつかの種類に分けられます。
レビー小体型認知症研究会によると、日本人に最も多い認知症は、(1)のアルツハイマー型認知症で約50%を占めています。
(1)アルツハイマー型認知症
男性よりも女性に多く見られる。
脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程で起きる。
(2)脳血管性認知症
女性よりも男性に多く見られる。
全体的な記憶障害ではなく、一部の記憶は保たれている「まだら認知症」が特徴。
(3)レビー小体型認知症
アルツハイマー病とパーキンソン病の特徴を併せ持つ疾患。
特徴的な幻視や寝ぼけ症状が起きる。
(4)前頭側頭型認知症(ピック病など)
記憶障害よりも性格・行動面の変化が目立つ。
まとめ
厚生労働省の発表によると、65歳以上の高齢者人口3,079万人に対し、認知症高齢者の数は約462万人であり、約7人に1人が認知症と認定されています。
またその割合は年々増加傾向にあり、2025年には約5人に1人という高い数字が予測されています。
しかし、残念ながら現在の医学では、認知症を完治させることはできません。
そのため、治療よりも予防に力をいれることが重要になってきます。
また、認知症は本人が自覚することが難しい病気であるため、身近な家族の存在が大きく、日々の行動に注意をはらうことが発見の第一歩となります。
アレっ?と少しでも変化を感じたのなら、ただの物忘れと思わずに認知症を疑ってみることが大事です。
正しく予兆をとらえ、早期発見・早期改善に務めていきたいものです。