近年、ドローンの可能性や性能に大きな注目が集まっており、様々な場面でドローンが活躍しています。
たとえば、私たちが普段見ることにできない世界中の遺跡や名所を上空から撮影したり、また、人の立ち入ることのできない災害現場の上をドローンを飛ばして撮影するなど、ドローンの活用は多岐にわたります。
産業用ドローンの開発・販売を行う(株)スカイロボットでは、このドローンを使い『SKY ANIMALS』という、ユニークなサービスを10月1日よりスタートするようです。
どのようなサービスかというと、ドローンと赤外線サーモグラフィカメラを組み合わせて、山中の野生動物を探索・調査するという取り組みです。
野生動物・野鳥による被害額は年間約230億円!
農林水産省の発表によると、近年、日本全国で野生動物による農作物への被害や、人への危害が多数発生しており、その被害総額はなんと年間約230億円!被害面積は9.7万ヘクタールにも及ぶとのことです。
その背景には、地方の急速な高齢化と人口減、また、緩衝地帯となる里山の減少などがあります。
対策として、野生動物に電波発信機を装着し、監視・観察をするシステムなどを運用したりしているようです。しかし、システムの重量や電池寿命、また、動物愛護という観点からも思っていたほどの効果が得られていないのが現状です。
ドローンで実現する「やさしい」害獣防止
スカイロボットが取り組む害獣被害への対策は、環境と動物に“やさしい”対策です。
まず、ドローンに赤外線サーモグラフィカメラを搭載し空撮します。そして、撮影した野生動物のデータを蓄積し分析することで、野生動物の行動を予測します。
その予測をもとに、超音波や匂いを用いて、害獣を撃退します。
【農作物からの害獣撃退方法】
- 田畑に野生動物が近づくとドローンから、対象害獣が苦手な超音波を放ち撃退する。
- カラーボールに野生動物のきらいな天然素材(自然に無害)のにおい液を封入し、ドローンから発射して、野生動物のいる位置の10メートル先に正確にマーキング(特許取得/特許番号:第609744号)するなど、野生動物を人里に近づかせない。(におい液封入ボールは2019年に商用化予定)
ドローンと赤外線カメラで野生動物の行動を観察・追跡!
- 草木の隙間に隠れているなど、通常の可視光カメラでは撮すことのできない動物でも、赤外線サーモグラフィカメラであれば発見できます。
- ドローンに爆竹音やサイレンを鳴らす装置を付け、野生動物を見つけたら鳴らして退散させることもできます。
- 赤外線サーモグラフィカメラであれば、夜間でも動物の探査が可能です。
ドローンはまだまだ無限の可能性を秘めており、様々なテクノロジーと組み合わさることで、これまで思いもしなかったような、面白い活用方法が出てくるでしょう。
今後も、さらにドローンが有効活用され、空の産業革命が進んでいくのかもしれませんね。