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高精細かつ立体視野(3D)で手術をサポートする!4K 3D手術用顕微鏡システム 『ORBEYE(オーブアイ)』

本日、運よく、ソニーとオリンパスの医療合資会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」が開催した発表会に行く機会を得たので、医療業界とは関係の薄い私ですが、勉強と思い参加してきました。

発表の内容は、今回新しく開発・発売される“4K 3Dビデオ技術を搭載した手術用顕微鏡システム『ORBEYE(オーブアイ)』”の紹介と説明でした。

手術用顕微鏡システム『ORBEYE(オーブアイ)』は、微細神経や血管などの手術の際に、医師が手術しやすいよう患部を拡大、かつ立体的に見るための機器です。

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手術用顕微鏡システム『ORBEYE(オーブアイ)』

 『ORBEYE(オーブアイ)』とは、開発の経緯

ご存知の方も多かと思いますが、オリンパスは、全世界の内視鏡の約7割のシャアを占めるメーカです。そんなオリンパスですが、2013 年にソニーと医療事業における合弁会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」を設立しました。

この会社は、ソニーのもつ最先端の映像エレクトロニクス技術と、オリンパスの医療機器製造・開発のノウハウを1つにし、ソニーでもオリンパスでも作れない、“世界に通用する尖った製品を作る”という企業テーマを掲げて設立されました。

2015年には、設立後初の製品として 4K技術が搭載された外科手術用内視鏡システムを発表しています。

今回発表された『ORBEYE』は、合弁会社として発表する第2弾の製品となります。ソニーのもつ4K、3Dの映像技術とオリンパスのもつ外科領域のノウハウを融合した、外科手術に適した手術用顕微鏡システムです。

主な使用領域は、脳神経外科を中心とする眼科や脊髄/脊椎外科などの微細手術を行う場での活用がメインになるとのこと。

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『ORBEYE』による手術風景

従来の手術用顕微鏡の課題

【執刀医】
これまでの手術用顕微鏡は、接眼レンズを数時間から数十時間も覗き続けなければなりませんでした。そのため、手術を行う医師は長時間不自術な姿勢を強いられ、時には頸椎を痛めるなんてこともあったようです。

また、20kgを超える巨大な顕微鏡は、執刀医の周辺の視野を遮るなどの問題もありました。

【スタッフ】
以外なことに、手術を支援する助手は、執刀医と同じクオリティの手術画面を見ることができず、2Dの暗い画像しか見ることができませんでした。

また、看護師をはじめ、手術をサポートする多数のスタッフは術野の映像を見ることができないため、全員が進行状況を把握することが難しく、スムーズな進行が難しいという問題がありました。

手術用顕微鏡システム『ORBEYE』の特長

4K 3Dの高精細デジタル画像により、緻密な手術をサポート

『ORBEYE』には、ソニーが開発した4KのExmor R CMOSイメージセンサーが2個搭載されています。それにより、高感度でノイズが少ない映像を実現しています。

フルハイビジョンに比べて4倍の画素数を実現しただけではなく、広色域に対応した画像処理回路により、“脂肪の白”“腫瘍の白”の違いがはっきりをわかるほどの高精細なデジタル画像を得るとこができます。

また、4K・3Dという膨大な画像のデータ処理が必要な本システムであっても、画像の遅延がなく(ほとんどない)、スムーズに見たい箇所を観察・処置することができます。

さらに、デジタルならではの付加価値として、赤外光観察青色光観察NBI観察といった、より緻密な手術をサポートする機能も使用することができます。

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3D対応の軽量メガネをかけると立体の4K高精細画像がみられます。
大型55型モニターにより、術者の疲労軽減とチーム医療(サージェリー)に貢献

『ORBEYE』は、従来の接眼レンズではなく、モニターによる観察を採用しています。そのため、レンズを長時間レンズを覗き込むといった術者に負担をかけることなく、楽な姿勢で手術を行うことができます。

また、55型の大型モニターでチーム全員が同じ映像を共有できるため、複数の術者により執刀する手術スタイルの実現や、他手術スタッフとの情報共有による手術の効率化をサポートできます。

小型化による、手術空間の確保

デジタル化により、顕微鏡部のサイズが大幅に小型化(従来機体積比95%減)されました。この小型化には、ソニーの光学技術が採用されており、光学設計を一から見直し実現したものです。

これにより、術者は広い手術空間を確保することができるだけでなく、さらに、顕微鏡部の小型化は、煩わしかったアーム部のバランス調整を不要にしています。

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大きさが一目瞭然!(左)『ORBEYE』搭載の4K・3Dカメラ。(右)従来の接眼レンズ。

まとめ

『ORBEYE』の由来は「ORB(軌跡、地球、頭部)」と「EYE(観察する眼)」を合わせた造語で、従来の顕微鏡では不可能な角度、方向からのアプローチできること、また、本製品で世界(地球)を席巻したいという想いも込められていると、発表会にて説明していました。

このような医療機器の進歩は、医師の方にとってはもちろんのですが、患者にとっても、大きなメリットとなることは間違いないでしょう。

想像ですが、今後は、3Dだけでなく、VR技術なども組み合わさっていくのではないかと思います。これからのさらなる発展が期待されます。